この記事は、ニフクラブログで2020-11-26に公開された記事を移転したものです。
こんにちは、ニフクラ技術支援チームです。
2020年9月10日の機能エンハンスにて、プライベートLAN内に限り、ニフクラサーバーをDHCPサーバーとして利用することが可能になりました。
以下、DHCPサーバー利用についてニフクラ 禁止事項 より抜粋。
※お客様のサーバーのネットワークインターフェースが「プライベートLAN(VLAN)」が接続されている場合に限り、そのネットワークインターフェースにて DHCP サーバーのサービスを提供することができます。
今回は、プライベートLAN上にサーバーを作成してDHCPサーバーとして設定を行い、新規作成するサーバーに対してIPアドレスを自動で割り当てる方法をご紹介します。
IPアドレスを自動で割り当てるサーバー(=DHCPクライアント)は、同じプライベートLAN上と、プライベートブリッジ(プライベートLAN同士を接続する機能)で接続した別リージョンのプライベートLAN上に作成します。
構成イメージ
前提条件
本ブログは、以下の前提知識がある方を想定しています。
ニフクラの基本的なコントロールパネルの操作、サービス利用に関する知識
Windows Serverの基本的な操作、設定に関する知識
DHCPサーバーの基本的な操作、設定に関する知識
利用リソース
east-11にRD GatewayサーバーとDHCPクライアント、west-13にDHCPサーバーとDHCPクライアントを作成します。
今回は、RD Gatewayを経由してDHCPサーバーにリモートデスクトップ接続し、DHCPサーバーの設定を行います。
ネットワークリソースは、プライベートLAN・プライベートブリッジ・コネクターを用意します。
east-11
リソース | 数量 |
---|---|
仮想サーバー(OS:Windows Server 2019) | 2 |
プライベートLAN | 1 |
コネクター | 1 |
west-13
リソース種別 | 数量 |
---|---|
仮想サーバー(OS:Windows Server 2019) | 2 |
プライベートLAN | 1 |
コネクター | 1 |
リージョン共通
リソース種別 | 数量 |
---|---|
プライベートブリッジ(リーチャビリティ:jp-east-1/jp-west-1) | 1 |
環境構築
① プライベートLANの作成
各リージョンにプライベートLANを作成します。
各プライベートLANは同じIPアドレス帯になるよう設定してください。
本検証ではIPアドレス帯を「192.168.10.0/24」としています。
作成方法の詳細は以下をご参照ください。
クラウドヘルプ(プライベートLAN:作成)
② プライベートブリッジ/コネクターの作成
プライベートブリッジとコネクターを作成して、各リージョンのプライベートLANを接続します。
プライベートブリッジとコネクターの作成についてはニフクラブログでもご紹介していますので、ご参照ください。
プライベートLAN同士を接続する機能 プライベートブリッジ の提供を開始しました(引っ越しました) - ニフクラ ブログ
③ RD Gatewayの作成
検証対象のサーバーにグローバルIPを付与しないため、踏み台としてWindows ServerのRD Gateway機能を利用します。
サーバーのホスト名とネットワーク設定は以下の通りです。
ホスト名 | グローバルIP | プライベートIP |
---|---|---|
RDGSV01 | 自動割り当て | 192.168.10.11 |
必要なファイアウォール設定とRD Gateway設定からRDP接続の方法についてはニフクラブログで紹介していますので、ご参照ください。
RD Gatewayを使用したWindowsサーバーへのリモートデスクトップ接続の手順(引っ越しました) - ニフクラ ブログ
④ DHCPサーバーの作成
続いて、DHCPサーバーを作成します。
サーバーのホスト名とネットワーク設定は以下の通りです。
ホスト名 | プライベートIP |
---|---|
DHCPSV01 | 192.168.10.10 |
DHCPサーバーに適用するファイアウォールには以下の通信(INルール)を許可するように設定しています。
※本検証では、OUTルールの設定は行っていません。(制限していません。)
プロトコル | ポート | 接続元種別 | 用途 |
---|---|---|---|
TCP | 3389 | 192.168.10.11 | RD GatewayからのRDP接続用 |
UDP | 67 | 0.0.0.0/32 | DHCPクライアントからのリクエスト |
作成方法の詳細は以下をご参照ください。
クラウドヘルプ(サーバーの作成)
クラウドヘルプ(ファイアウォールグループの新規作成)
⑤ DHCPサーバーの設定
DHCPサーバーはWindows Serverの機能を使用します。
「サーバーマネージャー」の「管理」からDHCPサーバーの役割・機能を追加します。
追加手順はここでは省略します。
役割・機能の追加が完了したら、「サーバーマネージャー」の「ツール」より「DHCP」を開きます。
左メニューの「IPv4」を右クリックし、「新しいマルチキャスト スコープ」を選択します。
ウィザードに従って、スコープの設定を行います。
任意のスコープ名と説明を設定します。
DHCPクライアントに割り当てるIPアドレスの範囲は、以下の通り設定しています。
項目 | 設定値 |
---|---|
開始IPアドレス | 192.168.10.101 |
終了IPアドレス | 192.168.10.200 |
その他の設定値は、今回はデフォルト値としています。
必要に応じて設定してください。
IPアドレスが割り当てられるように「今すぐアクティブにする」を選択します。
スコープの設定を完了します。
設定したスコープが表示され、状態が「アクティブ」になっていることを確認します。
以上で、DHCPサーバーの設定は完了です。
DHCPサーバーからIPアドレスを割り当てる
2つプライベートLAN上にサーバーを作成し、DHCPサーバーからIPアドレスが割り当てられるか確認していきます。
① 同一プライベートLAN上のサーバー
DHCPサーバーと同一プライベートLAN上にDHCPClient01を作成します。
作成するサーバーの構成、ファイアウォールは以下の通りです。
ホスト名 | グローバルIPアドレス | プライベートIPアドレス |
---|---|---|
DHCPClient01 | 利用しない | 指定しない |
プロトコル | ポート | 接続元種別 | 用途 |
---|---|---|---|
ICMP | - | 192.168.10.0/24 | 疎通確認用 |
作成方法の詳細は以下をご参照ください。
クラウドヘルプ(サーバーの作成)
クラウドヘルプ(ファイアウォールグループの新規作成)
サーバー作成が完了すると、DHCPサーバーのスコープからIPアドレスが自動で割り当てられました。
コマンドプロンプトで「ipconfig /all」コマンドで実行すると、IPアドレスとDHCPサーバーが設定されていることが確認できました。
DHCPサーバーからPingコマンドで疎通できることを確認します。
※DHCPクライアント側のWindowsファイアウォールは無効化しています。
② プライベートブリッジで接続した別リージョンのプライベートLAN上のサーバー
同様にプライベートブリッジで接続した別リージョンのプライベートLAN上にDHCPClient02を作成します。
作成するサーバーの構成、ファイアウォールは以下の通りです。
ホスト名 | グローバルIPアドレス | プライベートIPアドレス |
---|---|---|
DHCPClient02 | 利用しない | 指定しない |
プロトコル | ポート | 接続元種別 | 用途 |
---|---|---|---|
ICMP | - | 192.168.10.0/24 | 疎通確認用 |
こちらもDHCPサーバーのスコープからIPアドレスが自動で割り当てられました。
「ipconfig /all」コマンドの結果でも、同様にIPアドレスとDHCPサーバーが設定されていることが確認できました。
DHCPサーバーからPingコマンドで疎通できることを確認します。
※DHCPクライアント側のWindowsファイアウォールは無効化しています。
最後に、DHCPサーバーで「アドレスのリース」を確認してみると、以下のようにDHCPクライアントに割り当てたIPアドレスが確認できます。
まとめ
プライベートLAN環境にDHCPサーバーを作成して、クライアントへのIPアドレス自動割り当てを実施してみました。 DHCPサーバーの知識があれば、簡単に環境を構築でき、プライベートLANに接続したサーバーのネットワークインターフェースに柔軟にIPアドレスを割り当てられます。
プライベートLAN内のニフクラサーバーをDHCPサーバーとして利用可能になったことにより、移行時にオンプレ環境で利用していたDHCPサーバーの持ち込みも可能になりました。
クラウド移行、DHCPサーバーの利用を検討中の方は本記事を参考にしてみてください。
また、プライベートLAN環境においてDHCPサーバーを利用する場合、ルーターの機能として実装されているDHCPコンフィグを利用した、IPアドレスの自動割り当ても可能です。
設定手順についてはニフクラブログでも紹介していますので、ご参照ください。
プライベートLANにDHCPサーバーを作成する - ニフクラ ブログ
ここまで読んでいただきありがとうございました!
注意事項
- 共通グローバル、共通プライベートネットワークに接続しているネットワークインターフェースでのDHCPサーバーの構築は禁止事項のためご注意ください。
- 本記事ではOS上の操作についても記載していますが、ニフクラではOS以上はご利用者様の責任範囲となりますのでご留意ください。
- 本記事で記載した各サービス/ニフクラの機能等は、2020年11月時点の情報です。利用時には各サービス/ニフクラの機能の最新情報をご確認いただきご利用ください。