Fujitsu Cloud Direct ブログ

初心者エンジニア向け技術ブログ

コードを書かずにシステム開発【第五回】AI-OCRの業務利用の壁を壊すローコード開発

こんにちは。マジックソフトウェア・ジャパンの渡辺です。

前回はFit to Standardとローコード開発との関係について書かせていただきました。
業務システムのコアとなる基幹システムに関する内容でしたが、今回はエッジの部分として、エンドユーザが日々の業務で行っているデータ入力作業の効率化にローコード開発が有効であることをご紹介します。

AI技術で進化したOCR

画像データから文字・数値データに変換してくれるOCRですが、近年は文字認識にAIの技術が取り入れられたことで、認識精度が格段に高くなったAI-OCRが注目されています。

かつては認識精度が低いために実際の業務への有用性が不足していたり、人間が目でチェックしなければいけないので作業工数の削減にならないという理由で、OCRの採用を見送るケースも多く聞かれました。
近年はAI-OCRの登場により、実務に採用されて大きな効果を上げている事例も出てきております。

ところが、「AI-OCRの認識精度が良くなったのだから、積極的に用いてデータ入力業務を楽にしましょう」となるかと思いきや、なかなかそうはならない理由(=壁)が存在すると考えています。

ざっと思い当たるのは以下の2点です。

  1. 認識精度が高いと言っても100%ではないので、【人間が目でチェック】→【間違っていたら修正して確定させる】という仕組みが必要
  2. データを業務システムに取り込む仕組みが必要

つまり、AI-OCRのサービスやツールがやってくれるのは、画像→データに変換するまでのため、上記の仕組みを別に用意しないと業務には使えません。

1.については、AI-OCRのメーカーが用意していたりSaaSのサービスに含まれたりしていますが、UIや使い勝手などは最大公約数的なものになってしまい、必ずしもユーザが使いやすく機能的に十分なものとは限りません。
2.については、CSVファイルにしてシステムにインポートしたり、RPAツールを使って入力することもありますが、いずれもシステムのデータ構造に合わせる前処理が必要です。

この2つの壁を一気に解決するおすすめの手段として、AI-OCRと連携した専用の入力システムをローコードで開発する方法があります。

過去の事例として、FAXで毎日届く1,500件もの注文書の入力作業を効率化するために、AI-OCRと連携した受注入力システムをローコード開発ツール「Magic xpa」で開発した江部松商事様の事例をご紹介します。
www.magicsoftware.com

AI-OCRと連携した受注入力システムをローコード開発

さて、開発言語でコーディング(プロコード開発)して入力システムを作ることに比べて、ローコード開発ツールならではのメリットとは何でしょうか?

一つの回答としては、前回のブログでご紹介したFit and Gap(業務に合わせてシステムを作る)が格段に実現しやすい という点です。
ローコード開発では、期間とコストをかけずにユーザが求める、使いやすい、その業務内容や業務フローにマッチしたシステムをユーザとの共同作業の結果として作り上げることができるためです。

実際のプログラムの開発では、AI-OCRで読み取ったデータとFAXの元データをどう並べたら照合や修正をしやすいかを、実際に動く入力プログラムのプロトタイプを担当者に見てもらい、意見を取り入れて使いやすいUIにしていきました。
このプロトタイプ開発やユーザの意見を反映したプログラムの改修が、ローコード開発では柔軟に、かつ多くの工数をかけずに繰り返すことができます。

弊社のHPにAI-OCRとローコード開発ツールを組み合わせて活用するメリットについて書かれたホワイトペーパーを掲載しております。
ご興味のある方は以下からダウンロードしてみてください。
現場業務を効率化! DXを実現するローコード開発ツール

また、ローコード開発ツール【Magic xpa】を、クラウドサービスFJcloud上で展開できるMagic xpa powered by FJcloudもご提供しておりますので、クラウドサービスと組み合わせた構成のご希望にもお応えいたします。

”目で見て、手で入力” をなくしたい

「人材が不足しています」「仕事はたくさんあるんだけど人が足りない、集まらない」という話を嫌というほど耳にします。
でもその仕事の内容には【目で見てチェック】【紙に書かれたことを手入力】といった、人の目と手を使った業務が日本の企業にはまだまだ非常に多く残っています。

生成AIを使って人材不足問題を解決できることも多々ありますが、AI-OCRで大きな効果が期待できる業務も同様にまだ手つかずの状態で多く残っています。

AI-OCRは進化により、十分に業務利用できる高精度のサービスになりましたが、AI-OCR単体を利用するだけでは効率化は実現できません。
真の価値を引き出すために、ローコード開発をうまく組み合わせて賢く使っていただければと思います。


最後まで記事を見ていただきありがとうございました。
ローコード開発ツールを組み合わせたAI-OCRの業務利用をご検討されている方は以下からお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ | お客様サポート | マジックソフトウェア