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ファイルサーバーとは?メリットと導入時の注意点

ファイルサーバーとは、ネットワーク上でファイルの保存や共有といった管理を行うサーバーです。
業種や規模を問わず、幅広く活用されている基本的なITツールといえるでしょう。 本記事では、ファイルサーバーの概念から、メリットや導入時の注意点までを解説します。

ファイルサーバーで複数のPCからファイル共有を行えます

◆ファイルサーバーとは?

企業や組織のサーバーにはWindows ServerもしくはLinuxなどサーバーOSが導入されていますが、これらの多くはファイルサーバーとしても利用されているはずです。 LAN(ローカルネットワーク)を通じて、ファイルサーバー上の共有フォルダーにファイルを保管したことがあるのではないでしょうか?

1.Windows Serverの場合

Windows Serverに標準搭載されているファイル共有機能を利用すれば、簡単にファイルサーバーを利用できるようになります。クライアントPCとして多く使われているWindowsパソコンの「フォルダー」をイメージして利用できるため、初心者でも設定・利用がしやすいメリットがあります。 また、Windows Serverの標準機能であるAD(Active Directory)を利用することで、ユーザーごとに閲覧・操作できる権限などを一元管理できるため、比較的に利用出来るファイルサーバーと言えます。

2.Linuxサーバーの場合

Linuxサーバーの場合、Sambaなどのソフトウェアをインストールする方法が良く知られています。 Linuxのディストリビューションによって導入手順に多少の違いはありますが、SambaのパッケージはLinuxディストリビューションの導入時にインストールできるか、もしくは後から追加でインストール可能です。 SambaはWindows Serverに標準搭載されているファイル共有機能と互換性があり、ADも連携できます。

その他に、Linuxで動作するOSSのファイルサーバーソフトウェア(Nextcloudなど)を利用する方法もあります。 興味がある方はこちらの記事 【開発者向け】FJcloud-Vスタートアップガイド Nextcloud構築編 - Fujitsu Cloud Direct ブログ もご覧ください。

◆ファイルサーバー導入のメリット

ファイルサーバー導入は、下記のようなメリットがあります。

1.情報共有の促進による生産性向上

社内はもちろん適切なアクセス制御を行えば、インターネットを通じて社外からも社内のデータや資料の共有、再利用が行えます。 ファイル保存の一元化による世代管理などもしやすくなり、業務効率・生産性が向上します。

2.セキュリティ向上

重要な機密データなどを、各人のパソコンのローカル環境に保存していると、パソコンの紛失や、ネットワークやUSB機器を通じたマルウェア感染など情報漏えいリスクが高まります。ファイル共有をファイルサーバー経由にして適切に一元管理すれば、そのリスクを大幅に低減できるためセキュリティが向上します。

3.事業継続性向上

繰り返しになりますが、業務に必要なデータをファイルサーバーに保存していれば、インターネットを通じて社外から社内のデータや資料の共有、再利用が行えます。新型コロナ感染症のようなパンデミックが発生したとしても、適切なアクセス制御のもとでファイルサーバーを活用したリモートワークに移行する準備をしておけば事業継続性が向上します。 事業継続性向上という観点では、自社やデータセンターにサーバーを配備するオンプレミス型ではなく、IaaSのクラウドサービスを利用したファイルサーバー構築も選択肢に入れるといいでしょう。

◆クラウドストレージサービスとの違い

自社保有のオンプレミスのサーバーや、IaaSのクラウドサービスを利用してファイルサーバーを構築する方法の他に、Google DriveやDropBoxのようなインターネット経由でファイル管理(保存・共有)を行うクラウドストレージサービス(SaaS型クラウドストレージ)を利用する方法もあります。 個人で利用している人も多く、比較的手軽にファイルサーバーを構築できるメリットがありますが、注意すべき点もあります。

1.コスト

初期導入コストやサーバーの維持・管理コストが不要など、コストメリットが高いのが特徴ですが、多くの外資系サービスの場合、利用料金がドル建てであり為替変動の影響を受ける場合があります。また、従量課金の場合予算を超過するケースもありますので、年度での予算管理が比較的厳しい企業は注意する必要があります。

2.セキュリティ対策の自由度

SaaS型クラウドストレージサービスは、オンプレミスのサーバー機器やIaaSのサーバーと比べて、セキュリティ対策の自由度は低くなる傾向があります。外部ネットワークからのアクセス制御や権限管理、運用の柔軟性など、サービスによって可能な範囲が異なるためあらかじめ自社に必要なセキュリティ要件を調べてから利用する必要があります。

3.データの保管場所とデータ主権

多くのSaaS型クラウドストレージサービスは、外資系メガクラウドを基盤としていることが多いですが、基本的には自社のファイル・データを保管するサーバーの場所(リージョンなど)を選択出来ません。自社のセキュリティ要件で、機密情報の保管方法・保管場所に関する厳密なルールがある場合は注意が必要です。 また、近年個人情報保護の観点から、個人や企業が保有するデータを、メガクラウドなどプラットフォーマーに勝手に利用されることなく自身でコントロールする権利を重視する考え方が広がっています。クラウドサービスなどのデータを国内で保管し、自国の規制やルールのもとで安全を確保するという「データ主権」の考え方に基づいて、あえて国内データセンターや国産クラウドサービスを利用する企業も増えています。

ファイルサーバーを利用する際は、自社の保管している機密情報の「保管場所」も考慮して検討すべきでしょう。

◆まとめ

ファイルサーバーは、情報共有の促進による生産性向上、セキュリティ向上、事業継続性向上など多くのメリットを享受できる重要なツールです。 オンプレミス型、IaaS型、クラウドストレージサービスの利用など、複数の方法が考えられます。 コスト、セキュリティ、データ主権などの観点を総合的に判断して適切なファイルサーバー構築方法を選択しましょう。