この記事は、ニフクラブログで2021-12-10に公開された記事を移転したものです。
こんにちは。 ニフクラエンジニアミートアップ事務局の鮫島です。
2021年11月30日(火)に第42回ニフクラエンジニアミートアップを開催しました。
今回のテーマは
ということで、新人・初心者のための機器の選び方から運用ノウハウまでを自宅サーバーに詳しい先輩がレクチャーするという内容でした。
テレワークの普及とともに新人インフラエンジニアが、会社でサーバーやネットワーク機器などの実機に触れる機会が減少していることも踏まえて、自宅でインフラのことを楽しみながら学ぶために「自宅サーバー」の構築っていいぞ?と力説する人が多いので、身近な詳しい人(ニフクラの中の人)を呼んでみました。
おかげさまで、当日200名を超える参加者で大盛況でした。 ありがとうございました。
自宅インフラの育て方(第2回)
まずは、富士通クラウドテクノロジーズ株式会社のクラウドインフラ本部ネットワークサービス部に所属するインフラエンジニア山口将平のセッションです。
ハイスペックじゃなくてもいい
Corei3に32GBメモリーというスペックのサーバー3台で、インフラエンジニアのたしなみといえる物理機器の取り扱いを練習したり、ニフクラ/FJcloud-Vの仮想化基盤であるVMware製品(vSphereやvSANやNSX)のお試しをしたり、大量のVMを作ってAnsibleを流したりK8sクラスタで遊んでみたり・・・といったことを楽しんでいるそうです。
自宅インフラを育てるきっかけ
山口は自宅インフラを育てるようになったきっかけとして「先輩の影響」をあげていました。
まだまだ、新型コロナウイルスが蔓延する未来など想像もしていなかった頃ですので、初めての自宅サーバー選びも先輩から直にアドバイスをもらえたようです。
そうやって手に入れた機器に、業務でも使っているVMware製品の評価版をインストールして、自宅インフラの一歩を踏み出した山口を待っていたのは、厳しい現実でした。
購入した機器がやりたいことの要件を満たしていない
そうやって、「やりたいことを実現」するために、自宅インフラを拡充していくことになります。
真似してみたい先輩の存在は貴重
前半は、山口が自宅インフラに足を踏み込んで徐々にハマっていく様子が解説されていました。
後半はこれから自宅インフラ構築を始める新人・初心者に向けた
・自宅インフラ構築の心構え
・モチベーションづくり
・注意点
といった内容でした。
実際のところ、テレワークの普及で失われてしまった「先輩エンジニアから後輩への親身なアドバイス」そのものと言える内容です。
先輩がいなくても書籍を味方につけよう
たとえば、非IT企業で引継ぎ無しにいきなり配属された情シス担当者であったり、IT企業であってもさまざまな事情・環境によっては先輩に恵まれないケースもあります。 そういった場合は、やはり書籍を参考にするのが良いと思われます。
山口のように仮想環境を構築したい場合、初心者にとって環境構築のハードルが高いこともあるので、とりあえず書籍をそのまま真似するというのはアリです。 まずは、動く環境を構築して、書籍の内容を学んで行ったり、セットアップし直したりする方法です。
参考になる「先輩」も「書籍」もないんだが?でも、自宅サーバーが欲しいんだが?という「形から入りたい勢」は、とりあえず前述のIntel NUCがおすすめだそうです。 手のひらサイズで省スペース、比較的安価であり、LinuxやVMware ESXiを動かしているという実例も多いため情報収集しやすいメリットがあるようです。
まとめ
ITインフラがクラウドファーストとなりつつある現在であっても、クラウドの裏では物理機器が動いています。
クラウドのユーザーやSIerであっても、仮想化していない物理機器のことを理解するメリットは大きいと思います。
山口のまとめから、わかることはこういうことでしょうか。
・自宅サーバーは楽しみながら学習できる優れた教材
・教えてくれる先輩って大切
・技術書籍は読むだけでなく実践すると身につく
・NUCはいいぞ!
自宅インフラを活用した仮想環境の学習を始めて数年、今ではVMwareのvExpertとして表彰されるまでにスキルアップした山口でした。
詳しくは、下記のスライドと動画もご覧ください。
www.slideshare.net
また、山口を始めとするインフラエンジニアが自宅サーバーで得られた知見も生かしながら作っているニフクラもぜひ、触ってみてください!
ニフクラのOEM(FJcloud-V)の無料枠で2か月遊べます。ぜひお試しください。 personal.clouddirect.jp.fujitsu.com
Raspberry Piで始める自宅サーバー超入門
続いて、宮原徹氏によるRaspberry Pi(通称ラズパイ)を活用した自宅サーバーのお話です。
宮原氏曰く「一家に一台ある」といわれている、ラズパイは電子工作で遊ぶ人は何台も持っているポピュラーな機器です。
私も含め実際に持ってはいるが、パーマネントな目的で利用している人は意外と多くないと思われます。
宮原氏自身も、いつのまにか10台に増えたラズパイを活用する方法として、サーバーにすることを考えたということだそうです。
OSの選定
Raspberry Piの標準OSは、Raspberry Pi OS(そのまんま)ですが、サーバー用途ならば、デスクトップ環境は不要なので、Lite版で十分だそうです。
一方でLinuxサーバーの勉強をしたいという人には、Ubuntu Serverという選択肢も人気があります。
LTS(ロングタイムサポート)版もあり、32ビットも64ビットも用意されているので、安定して利用しやすい環境が整っているのが特長です。
とはいえ、Raspberry Pi OSも、DebianベースのOSなのでSDカードを差し替えて好みのOSで動かしてみては?とのこと。
※ラズパイのストレージは基本SDカード
SSHでコマンドを実行する準備
サーバーとして活用するからには、やはりキーボードをつないで直接コマンド入力するのではなく、ネットワーク経由でリモートログインするのに慣れたほうがいいです。
一連のの手順、DNSや名前解決の手順が解説されますが、このあたりは後ほどご紹介する動画やスライドをご覧いただいたほうがわかりやすいので割愛します。
aptコマンドを使えるようにしてApache Webサーバー導入
aptコマンドとは、Debian系のLinuxディストリビューションに使われているパッケージのインストールなどを行う管理用のコマンドです。
下準備を終えた後、apdコマンドでApache Webサーバー(一般的なWebサーバーソフトウェア)をインストールします。
そして、ブラウザーでアクセスするとこういう画面がでます…
ネットワークの設定と公開
この後が、ネットワークの基本的な知識が無いと、ちょっと難しい部分です。 以前、インフラエンジニアのためのネットワーク超入門という回がありましたが、このイベントの動画などで勉強するといいかもしれません。 IPアドレスを固定したりセキュリティの設定を変更したり・・・そしてようやくインターネットへの公開となります。
詳しくは、下記のスライドと動画をご覧ください。
www.slideshare.net youtu.be
QAセッションの回答が追い付かない
QAセッションは、前半後半二回に分けておこなわれました。
まず今回の印象を書いておきます。
・ご家庭のネットワーク環境の問題は解決が困難
・VMware 製品のユーザーは思ったより多い
・機器購入相談のニーズの高さ
・ネットワーク機器の選択や設定は難しい
下記は、アーカイブ公開しているYouTube動画に苦労しながらつけたチャプターです。
詳しくは下記の動画をご覧ください。
まとめと次回の宣伝も
インフラエンジニアではない人種からみると、「自宅にサーバーがあってVMを立てて遊ぶ」感覚は理解し難いのかもしれません。
実際に彼らに「自宅サーバーで何をやると楽しいんですか?」という話を聞いたことがあります。
なかなか、いいたとえが見つからずにふと思い出したのがコレ。
・インターネッツ黎明期に、自分でサーバー公開したりってそれ自体楽しかった
ってことですか?と聞くと
という反応が絵文字で帰ってきました。
少し分かり合えた気がしてうれしかったです。
物理機器の設定そのものが楽しいと感じるだけでなく、今時のエンジニアはスキル向上のために学習教材として自宅サーバー・自宅インフラを位置付けている部分もあると思います。
「それならクラウドでもいいんじゃない?」
というのも正論ではあります。
トータルのコスパで考えると、間違いなくクラウドのほうが安いはずです。
しかし宮原氏が発した一言が印象に残っています。
「コスパではない。あえて自宅でやることに意味がある」
今回の自宅サーバー環境構築超入門で、仮想化環境やネットワークに関するニーズが高いこともわかりました。
次回は、皆さんのご要望にお応えしてこういうテーマで開催します。
自宅仮想環境構築超入門 blog.pfs.nifcloud.com
次回もお楽しみに!
なお、2023年に続編も開催されましたのでこちらの記事もどうぞ!