こんにちは。日本仮想化技術株式会社の宮原です。
前回は、2023年4月に開催したニフクラエンジニアミートアップで取り上げたテーマである自宅ネットワーク構築について書いてみました。
本当は1回のエントリーで終わるはずが、TCP/IPについて解説していた文字数が多くなってしまい、前後編になってしまいました。
今回はインターネット回線や自宅ネットワーク構築用の機材について解説します。
インターネット回線は何を選ぶ?
皆さんがとても関心が高いのは、やはり自宅に引くインターネット回線を何にすべきか?というテーマ。
在宅ワークが多い昨今、できるだけ使いやすい回線を引くことに関心があるようです。
一概にこれでいい、ということはできませんが、いくつかのポイントについて触れておきます。
固定IPにするべきか
アクセス制御に発信元のIPアドレスを使ったり、自宅サーバーを立てたり、外部から自宅のネットワークにアクセスするなど、様々な目的のために固定のIPアドレスがあると便利です。
現在では比較的安価に固定IPアドレスを提供してくれるプロバイダーもありますので、そのような契約が利用できるなら利用してもいいかもしれません。
逆に、回線の制限で固定IPにできなくても、ダイナミックDNSなどを使うことで外部からのアクセスは受け付けられますが、そのような使い方を想定していない場合もあります。
このような使い方については、回線事業者に問い合わせても明確な回答が得られないこともあるので、実際に試してみるしかないのが難しいところです。
IPv6接続にするべきか
IPv6による接続サービスも増えてきました。
ただ、IPv6ならではのサービスを実感できることは少ないようです。
どちらかというと、IPv6とIPv4ではプロバイダー側の設備や回線が異なっているため、高速に接続できるというメリットが大きいようです。
もちろん、IPv6について理解したい人にはIPv6接続サービスがおすすめです。
回線速度はどうすべきか
最近では「10Gbps接続」をうたうプロバイダーも出てきており、高速化競争になりつつあります。
ただ、こういうところで速度と言っているものは「帯域幅」である点には注意が必要です。
あくまで回線で同時に送れるデータの「幅」が大きいだけで、通信の相手方がその幅に対応できなければ意味がありません。そのような帯域幅の広い通信を行ってくれるサービス、サーバーはそれほど多くありません。
そして実際のデータも、たとえば動画配信をストリーミングで見る場合、4K映像でも100Mbpsを超えません(圧縮の場合)。ビデオを使ったオンライン会議でも、数Mbpsあればまったく問題なく快適に会議が行えます。
スペック競争、そしてスピードを測定するサイトでの結果に一喜一憂するような風潮がありますが、普通に使うだけであれば100Mbpsも必要ありません。
実際、筆者の環境はマンション内がVDSLで100Mbps(実質88Mbps)に制限されていますが、3年間の在宅勤務やオンライン会議、そしてニフクラエンジニアミートアップのオンライン開催などに一切支障がありませんでした。
強いていえば、上りの速度、そして遅延が少ないネットワークの方が重要であり、そういう意味ではこの後に説明するネットワーク機器の選定の方が影響が大きいのではないでしょうか。
自宅用ネットワーク機器を選定する
自宅用のネットワーク機器の選定も初心者は悩むところです。
これもいくつかのポイントに分けて解説します。
基本の無線LANルーター
特別自宅ネットワークを組んでいない場合、無線LAN機能を備えているインターネットに接続するためのルーター、いわゆる無線LANルーターを使っている場合が多いのではないでしょうか。
実はこれだけでも、それなりの機能を備えていますし、沢山のことができます。まずはあれこれ機器を増やす前に、自分が使っているルーターの機能を一通り把握することをおすすめします。
外部からのアクセスを受け入れる機能は、DMZ機能と呼ばれたり、ポートフォワード機能だったりします。ダイナミックDNSをサポートしていたり、VPNできたりするものもあります。どのような機能があるのか、全体を把握するところから始めてみてはどうでしょうか。
スイッチの選び方
上記ルーターにも、少ないながらもポートがあってスイッチとしても機能しますし、簡単なスイッチングハブをカスケード接続してポート数を増やしている場合も多いのではないでしょうか。
ここから脱却するということであれば、マネジメント機能を持ったマネージドスイッチを選定することになります。
スイッチの各種基本機能
比較的安価なマネージドスイッチの場合、大体以下のような機能を備えています。
・VLAN
・リンクアグリゲーション(ホストとスイッチを複数のLANケーブルで接続する)
そのほか、あるとネットワーク学習に嬉しいのは、以下のような機能です。
・SNMP対応
・ポートミラーリング(あるポートのやり取りを別のポートにも流す機能。パケットキャプチャリングが行える。)
L3スイッチは必要?
L3スイッチとは、IPベースでの制御が行えるスイッチです。大雑把に言ってしまえば、スイッチの中にルーターを組み込んだものとなります。
ある程度の規模のネットワークを扱うのであれば、概ねネットワークの中心にL3スイッチを置くことになるので、そのようなネットワークの構築スキルを身につけるのであれば、触っておきたいアイテムです。
ただ、自宅ネットワークで利用するにはハイスペックすぎて若干持て余すかもしれません。価格も高くなるので、お財布と相談すると良いでしょう。
スタッキングする?
2台のネットワークスイッチを相互に接続して、冗長性を確保することをスタッキングと言います。
LANケーブルで相互接続するものから、専用のスタッキングケーブルを使う場合も含めて実務ではよく行うことなので、可能であればスイッチを2台用意してスタッキングをしてみても良いかと思います。
業務用ルーターを導入する
インターネット回線への接続は、普通の(一般家庭用)ルーターでもまったく問題ありませんが、拠点間VPNを設定するなど業務的なネットワークを想定すると、そのような環境で使用される業務用ルーターが欲しくなります。
各メーカーによって設定方法が異なりますので、業務でよく使用するメーカーがあれば、そのメーカーのルーターを導入するのは良いでしょう。
最近では、Web UIが優秀になって、かなり簡単に設定ができるようになってきていますが、学習目的であればやはりコマンドを入力したり、設定をテキストで行う方法を押さえておきたいところです。
業務用機器を安く入手するには?
特に業務用の機器の場合、新品で購入するとかなり高価です。機能が豊富なハイエンドモデルになれば、それだけで自動車が買えるぐらいの金額になるでしょう。
一方で、ネットワーク機器の機能自体は大きく変わっておらず、高速な帯域(10Gbpsなど)に対応するなどしてきただけとも言えるので、1Gbps程度であれば型落ちのものや中古でも機能としてはまったく問題ありません。
特に中古ネットワーク機器は、中古OA機器を扱っている業者だったり、オークションなどで豊富に流通しているので、それらをチェックしてみてはどうでしょうか。型番からスペックを調べてみるだけでも、かなり勉強になること間違い無しです。
まとめ
ネットワーク機器やネットワークの設定も、クラウド上の仮想環境で行うことも多くなりましたが、自由に触ることができる自宅ネットワーク環境で得られるスキルは実際の仕事でも役に立つはずです。本番環境ではなかなか失敗できませんが、自宅ネットワーク環境であれば多少の失敗も許されますので、どんどん面白い構成などに挑戦してみてもよいのではないでしょうか。
ニフクラエンジニアミートアップの「自宅ネットワーク超入門」のレポートもあわせてごらんください。 blog.clouddirect.jp.fujitsu.com
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