こんにちは。 ニフクラエンジニアミートアップ事務局の鮫島です。
2023年7月26日(水)に第62回ニフクラエンジニアミートアップを開催しました。
今回はUbuntuがテーマです。
サーバーなどのインフラ構築、運用にあたって、出来るだけ長期間無料かつ安定したLinuxディストリビューションを使いたい!というのは、サーバー管理者の偽らざるお気持ちではないかと思いますが、CentOS 8のEOLという大きな出来事によってどのディストリビューションにすればいいのか?という悩みは尽きない状況かも?
いわゆるRHEL系のCentOS以外に、Debian系のディストリビューションであるUbuntuもあるよ?グローバルでは最大勢力だし乗り換えてしまえば?というお話をされるケースもあると思いますが、なかなか踏み出せない人も多いはず。
そういった「今からUbuntuを始めたい」人のために、Ubuntu Japanese Teamのメンバーとして活動している、日本仮想化技術株式会社の水野源氏が、Ubuntuのディストリビューションとしての特徴、基本的な使用方法など、これからUbuntuユーザーになるためのポイントを解説するというのが今回の趣旨です。
Ubuntuの基礎
Ubuntuの成り立ち
まず、Ubuntuってどういう成り立ちなのか?という話ですが、Debian開発者であったマークシャトルワース氏というエピソード満載の奇特な人物(富豪)によってスタートしたディストリビューションだそうです。
このあたりに興味がある人は、ネットで検索すると面白い話が読めるはず。
Ubuntu最大の特徴は、開発がコミュニティ主体という点です。
サポートを担当するCanonical社は、Ubuntuコミュニティを支援するために存在していると言っても過言ではなく、緊急時に備えて1000万ドルがUbuntu財団にプールされているとか。
コミュニティが主体だと遅れがちな緊急性のあるセキュリティ対応などが、迅速に行えるのはこのあたりの支援体制によるところが大きいのですが、このあたりのバランスがうまくかみ合っているのがUbuntuの魅力なのでしょう。
Ubuntuのリリースサイクル
Linuxのディストリビューション選定の上で、リリースサイクルとサポート期間は重要なポイントです。
Ubuntuは年に2回、半年ごとにリリースされると決まっていて、「タイムベースリリース」と呼んでいます。
それだと、リリースから9ヶ月間サポートが行われますが、半年ごとに新しいバージョンがリリースされたら、3ヶ月以内にバージョンアップを行わなくてはならないわけで、エンタープライズ用途で利用するのは苦しいですね。
エンタープライズ用途で利用するのであれば、5年間のサポートが約束された、長期サポート版(LTS)を利用するのがいいそうです。それ以上のサポートが必要な場合有償サポートパッケージ「Ubuntu Pro」もあります。
詳しくはこちらのブログ記事でも解説していますのでご覧ください。 blog.clouddirect.jp.fujitsu.com
Ubuntuの運用
Ubuntuのパッケージとセキュリティ
Ubuntuのリポジトリは、4つのパッケージに分かれて提供されているそうです。
上記の図の左側、「main」と「restricted」はCanonical社のセキュリティアップデートが保証されているが、「universe」と「multiverse」はコミュニティによるベストエフォートという点は、あらかじめ理解しておくべきポイントのようです。
Ubuntuに限らず、オープンソースのソフトウェアを深く考えずに使い続けているケースって多いと思いますが、最低限知っておくべきお作法ってあるんだな…と思いました。。
こういうことを踏まえると、Ubuntu Proってエンタープライズ用途ではアリだな…という気になりますね。
こちらのブログ記事も参考にしてください。 blog.clouddirect.jp.fujitsu.com
RHEL/CentOSユーザーがハマりがちなポイント
おもにこれまでCentOS 8などを利用してきた皆さんが、Ubuntuを使う上で知っておいて損はないハマりポイントのお話です。
UbuntuはDebian系なので、RHEL系CentOSとは異なるコマンドがあります。
代表的なものとして「apt」があります。
パッケージ更新時のコマンドとして、「考えるな!手で覚えるんだ」レベルの扱いでしょうか。「yumじゃないぞ?」と…。
この他にも
dashはbashの誤植じゃないぞ
などなど…
詳しくは動画をゆっくりご覧ください。
QAセッション
本編終了後に、恒例のSlidoを使った質疑応答が行われました。
・Ubuntuのユーザー数って?
・Ubuntuデスクトップ推奨ノートとかある?
・snapの活用法
・5年間アップデートせずに使い続けるLTSの解釈
といった、初心者なら気になる点に関する質問が多かったような気がします。
こちらも、動画をご覧ください。
まとめ
オープンソースの安定したサーバーOSをなぜか無料で使えてしまっていたのはむしろ普通ではなく、エンタープライズ用途で安定したLInuxディストリビューションを利用するためには、Ubuntuに限らずそれなりの知識・実践が必要なのでは?という感想でした。
ご家庭の自宅サーバーにインストールするのもいいですし、今なら無料で最大半年利用できるFJcloud-Vのイメージとしても利用可能になっているので、ぜひUbuntuを触ってみてはいかがでしょうか。
ということで、また次回もお楽しみに。